2002/05/10 |
<速報> 『オッス!トン子ちゃん』 ついに入稿完了!たいへん長らくお待たせいたしました。6/1発行です。予約がまだの方、ぜひ! 『 NEUT. 002』 青山ブックセンター本店売り上げ(2002年3月期)ランキングなんと堂々第1位!!(001も第4位!) |
2002/05/16 |
どうも自分は身も蓋もないことを考えたり口走ったりしてしまう性分なのだということが最近わかってきた。世の中の多くの人はもう少し我慢強く根気があるのだと思う。自分もそうありたいと強く願ってはいるのだが、性分というものはつまり体質みたいなものだから、たぶんどうしようもないことなのだろう。なんの話かというと、たとえばこんなことだ。自分は今、デザインの仕事をしている。そして、デザインというものはじつに歴史が浅い。数十億年という星の一生を考えれば瞬きくらいのものでしかない。なんて、ちょっと例えが極端すぎるな。そんなこと言ってたらなんだってそうだわ。 でもまあいいや。続けよう。そうすると、その刹那な歴史の更に刹那な流行などを気にしている自分というのはいったい何なのかと思い至り、諸々の気遣いがバカバカしくなってくる。デザインをやろうなどと思うのはだいたい極限的に刹那な青春期の精神不安定状態においてだから、その判断自体がほぼ病的なものであると言ってよく耐久性というものがほとんどない。センセーと呼ばれる人たちが醜悪なのは、そのことを決して認めようとせず、じつはほとんど根拠のない成熟というものによって権威をまとっているからだろう。ただの阿呆でスミマセンと言ってくれれば少しは後続の役にも立つんだがな。 しかしたかだか40年くらいの人生経験でそんなことを言ってみても50代60代の人間が何を考えているかなどはその時になってみないとわからない。じゃあ自分より若い人間が少しでも希望を持てるようにと考えればそれでいいのかというとそれもなんだか不誠実なことのように思えてきている。セコイ希望なんかを抱くより、できるだけ早い時期に十分絶望したうえで星の一生と刹那な流行の間を自由に往復できるような意識が芽生えたらそれが一番いい状態なのではないか。って、できっこないか、そんなこと。宗教にでも染まらないかぎり。でも幼児なんかの言動を観察してるとわりとそんなかんじがするんですけど。 |
2002/05/20 |
最近、だんだんと職業デザイナー的な発想をするようになってしまっている自分に気づいて、松浦弥太郎の『本業失格』を読み直したりしている。別に職業デザイナーが悪いわけではなく、それはそれでまだまだ奥の深い世界だと思ってはいる。たとえばブックデザインの分野なら祖父江慎のような人には到底かなわないと思う。なんというか、雲の上の人とかいうよりも、たとえばサッカーが好きで中田や小野が好きだといってもそれは目指すようなものではなくその才能にほれぼれしているわけで、祖父江慎という人の仕事にはそんな畏怖を感じながら眺めていたりするのだ。 でもデザインというものは、サッカーみたいに誰が見ても納得!というわけにもいかないから、ずいぶんとゴマカシがきくしデザイナーにはニセモノみたいなのがたくさんいる。そして、それは賞を取ったりしている人に多い。というより、賞を取ったりしている人ほど怪しい。今、自分が自分の姿に不安というか危機感を覚えるのはそこのところだ。僕は今あきらかに岐路に立っていると思う。道端でボールを蹴っている子供などは皆サッカーに対してとても誠実だが、サッカーの指導者なんかには怪しい人間がすごくたくさんいる。そういうのを見ていると我が身を振り返らざるをえない。 なぜ人は、誰に頼まれたわけでもなくただ好きではじめただけのことなのに、最後には好きなことに対して誠実でいられなくなったりするのだろう。それで幸せになれるのなら別にかまわないが、好きなことに対して誠実じゃないのに幸せな人間なんているわけがないと思う。いい歳の取り方をしたいんだけどなあ。がんばろ。ちゃんとした歳の取り方をしている人間がまったくいないわけじゃないんだから。すごく少ないみたいだけど。 |
2002/05/21 |
日本のラスプーチンこと佐藤優容疑者の最近の顔だが、鈴木宗男とつるんでいた頃のビデオとはまるで違って断然イイ男になっている(ちょっと後藤繁雄さんに似てたりして)。カメラに追い回されても狼狽えることなく毅然として一切口を開かない。ビデオに映っていたのは「顎のたるんだメガネおやじ」(現在の私などがこのタイプ)だったのに!……ということは私にも疑惑が降りかかればイイ男になれるのか?という希望のようなものが沸いてくる。あんまり希望になってないけど。しかしこれはいったいどういうことなのだろうか。 話は飛ぶが、テレビ局の制作や大手出版社の編集でバリバリと仕事をこなしている人間は、よくよく話を聞いてみると契約社員だったり外部スタッフだったりすることが多い。一方、桁違いの給料をもらっている大手企業の正社員で仕事のできる人間というのを私は見たことがない(今のところ)。というか、だいたいそういう人たちからは危機感も熱意も感じられないから、モノをつくるための冒険的なコミュニケーションを交わすには至らない。ほとんどの場合、それ以前のところで話はストップしてしまうのだ。 で、ラスプーチンこと佐藤優容疑者の話に戻るが、彼の情報収集と分析能力はすごかったらしい。ロシアから情報を収集することでアメリカの神経を逆なでしつつ、イスラエルをめぐる対アメリカ関係をコントロールしようとしていた……などといった巧妙な駆け引きは、いわゆるキャリア官僚には皆無だという。結局、ノンキャリアの彼には、鈴木宗男と結びつく以外には出世の方法がなかったのだろう。イイ男になった彼の顔を見ながら、既得権益のみで安穏としている存在に思いが及んだ。ま、べつにどうでもいいんだけど。だって既得権益な人たちって、お金もたくさん持ってて腰巾着みたいに人もたくさん従えてはいるんだろうけど、ちっともカッコよくないし幸せそうでもないから。 というわけで、ラスプーチン佐藤にやや同情しつつ、でもちょっとイイ男になれたんだからいいよねってことで。 |
ARCHIVES |