1998.5.07.TUE |
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星のない、どんよりと曇った夜空はキレイだ。明け方の紫色の空はキレイだ。歩道のない交通量の多い道路を、歩いて幼稚園に通っていた。路溝には、オレンジ色の工場排水。その色はとても鮮やかで、今でも忘れることができない。 |
1998.5.10.SUN |
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やっと入稿も一段落したので、本屋に立ち寄る。「80s DISK GUIDE」(リブロポート)ってのが置いてあったんで、何気なく手にとってみる。買ってみる。寝ころんで読んでみる。最近はあまりハードな本を読まなくなった。なぜなら、ハードだからだ。 小山田圭吾と常盤響が対談している。どっちもほどほどに特徴的でいい名前だな。うらやましい。オレの名前なんていったい日本に何人いると思ってるんだ。って、そんなことはどうでもいいんだけど、常盤響のレコ評は秀逸だ。守備範囲が広いのにも驚きました。短いレビューの中に込められた、それぞれのDISKとその背景に対するつかず離れずの距離感がなんとも言えない。常盤響という人はたぶん上の世代とも下の世代とも同じようにコミュニケーションのとれる人なんだろう。他の年代でも同じ事だが、80sもまたある種の「色」で括られて語られてしまうことが多い。でも本当は、単色で塗りつぶされてしまう時代なんて存在しない。この本を手にしなかったら、たとえば80sのことを人に訊かれても、ひどく大ざっぱな「傾向」で一括りに振り返ってしまっていたような気もする。Lost in the Stars/THE MUSIC OF KURT WEILLやTHE RHYTHMATISTやその他もろもろのDISKを聴いていた瞬間瞬間のごくごく小さな記憶の断片も、きっとバラバラのままに身体の奥底に沈んだまんまだった。 |
1998.5.22.FRI |
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吉祥寺の駅を降りたら、サックスの群が練り歩いていた。故・篠田昌巳が率いていたコンポステラの楽曲をもっとアップテンポにしたようなナマな音が路地に鳴り響く。ただ呆気にとられる人たち。何事かと店の中から飛び出てきた人たち。無視する人たち。 音楽の趣味の問題もあるんだろうが、僕にとってはすごい解放感があった。「お金のための歌だろ 人気のための歌だろ その場しのぎの歌だろ 調子いいだけの歌だろ」と中川敬は音楽業界に対する敵意をむき出しに歌っていたけれど、確かに音楽があふれている現在の日常はいやにのっぺりしている。でも今日は、ハコの外の空気の感触をも瞬時に変えてしまう力が音楽にはあるんだということを久しぶりに思い出させてもらった。「カッコイイぞ、あんたら!」そんなふうに声を上げたい気分だった。 |
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